バイオバンク

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バイオバンク

東北メディカル・メガバンクプロジェクトが将来の医療マップを塗り替える(仮訳)

2011年3月11日の大地震や津波で自分の家や仕事を失った人々の中には、ストレス関連の病気になる人が少なくない。ところが、被災地では、医療機器とともに病院が津波で流されたため、医療サービスが不足している。

Digitizing medical data

東北大学は、仮設住宅に住んでいる避難者を含む住民の健康状態をチェックするために医師を送るなどして、被災地で医療サービスを提供する役割を担ってきた。

東北地方は、医療の活性化通じての再生を目指している。

そして、「復興」を「イノベーション」へとつなげていくため、東北大学は、被災地での医療サービスを向上させるべく、住民のゲノム情報や病歴などを集約する大規模な「バンク」を作成する計画をたてている。この「バイオバンク」は、被災地以外の医師にも、震災の被害者の健康状況の研究のために、集約したデータの閲覧を許可している。

2011年6月には、東北大学は国に大規模なバイオバンクを作成する計画を提案した。国は、大学の提案を受け、バックアップしている。

「大規模コホート(多数の人を長期に渡って追跡調査すること)によって健康調査を実施することは、住民の健康を守る上で非常に有効です」と東北メディカル・メガバンク機構の広報担当、長神風二氏は言う。「研究成果を用いて、次世代の薬を開発することもできます。」

大規模コホート

東北大学は、東北メディカル・メガバンク機構を2012年2月に設立した。同機構は岩手医科大学と協力して、今年4月から12万人の宮城県住民、3万人の岩手県住民に対するコホート研究を始める。

コホート研究で収集されるデータを使うと、例えば心的外傷後ストレス障害(PTSD)、心血管疾患やアレルギー疾患など、一般的に被災者の間で起こるとされる疾患を引き起こす遺伝子を発見する可能性が高くなる。また、これらの症状のいくつかは災害後2〜3年で症状が現れることが知られている。

このような疾患を引き起こす遺伝子を特定することで、疾患の予測を可能にし、東北の医学に大きく貢献することができるだろう、と長神氏は言う。

「自治体として、(ゲノム情報を提供することに)協力すると同意した住民のみなさんが、長期的で詳細な健康チェックを受けることは、すばらしいことです」と、宮城県岩沼市健康増進課の鈴木隆夫氏は言う。

バイオバンクプロジェクトで具体的に行われるのは、住民の血液や尿のサンプルを採取し、個人やその家族の病歴に関するアンケートをとり、そしてその他の研究を行なうことだ。関係者の匿名性を保護することを約束しながら、機構が情報をバイオバンクに統合する予定だ。

機構はゲノム情報のプライバシーを確保する上で「非常に慎重」になる、と長神氏は言う。

「15万もの人々の協力を得ることがいかに困難であるか、我々にはまだわからないが、人々の意識を高め、(コホート研究に)参加することのメリットを理解してもらうためにシンポジウムの開催などの活動などを行い、努力していきます。」

Parsonalizing treatment

コホート研究で調査の対象となる15万人のうち、7万人は「三世代コホート」対象で、機構は3世代を超えて家族の医療記録を追跡する。うち、3世代目は、出生時から追跡する。

機構は、個々の患者に対してカスタムメイドの予防・治療を提供するような、次世代医療の実現を支援するために、世界中の医学研究機関とバイオバンクを共有することになる。

「ヨーロッパとアメリカはバイオバンクの分野で先行している」と長神氏は言う。「しかし、日本やアジアで大規模バイオバンクを構築することは、(アジアでは欧米と)遺伝的背景が異なるため、研究や最先端の医療に不可欠な基盤となります。」

地域医療の活性化

Personalizing prevention

津波で医療データが紛失したことで震災後適切な医療サービスを提供できなかったことを、東北の医師や医療業界の人々は忘れないだろう。このことが、東北大学がバイオバンク構築を決意したひとつの要因である。

「我々は、地域医療の活性化に貢献したいと思っています。東北の活性化は、それなしででは実現しませんから」と長神氏は言う。

バイオバンクを構築するためのコホート研究を実施することにより、機構は、津波により職を失った医師や臨床研究コーディネーターなどの医療関係職の雇用を創出することを見込んでいる。宮城県だけでも、100人以上の医師と約500人の医療従事者が職を失い、6つの病院が破壊された。

Sendai

また、東北地方の医師たちが医療情報を共有することで、東北の医療の質が向上し、都市部と遠隔地の医療の質の格差を小さくしていくことができるだろう、と長神氏は言う。

Produced by The Japan Times