復旧を支えたITS (Intelligent Transport Systems)

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復旧を支えたITS(Intelligent Transport Systems)
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プローブデータの集約で、日本の復興がより円滑に(仮訳)


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どの道路の瓦礫が撤去されていて、どの道路が撤去されていないか。そのことがわからなければ、2011年3月11日の震災後、家を失った避難者に生活必需品を届けることはできなかったかもしれない。

震災後に東北地方の沿岸地域を走った車からの道路情報は、その後数ヶ月にわたって食糧、毛布などの物資を届けるのに役立った。

高度道路交通システム(ITS)を推進する民間団体(NPO)であるITS Japanは、複数の自動車関連メーカーから、プローブデータ(道路走行データ)をまとめることによって走行可能な道路の情報提供を行なった。データには、先行車が通った道路などの情報が含まれている。

「システムが実際に役立ったと、トラック運転手から聞いています」と、全国物流ネットワーク協会の常務理事松永正大氏は言う。データは、各道路を通ってきたトラックのサイズの内訳を示せば、もっと良かっただろうと松永氏は付け加えた。

プローブカーとは、カーナビに自動車走行データなどのデータ送信機能が搭載されている車をいう。ドライバーが、カーナビの最新型タイプを購入し、プローブデータ提供に同意すれば、データ送信機能を持つことになる。東北地方ではだいたい数百台につき一台の車がプローブカーだろうと思われる。都市部では普及率がもっと高い。

ITS Japanがもともと想定していたプローブデータの使い方は、事業者を越えてプローブカーの時々刻々の走行情報を集約することで、渋滞を緩和したり、CO2削減に役立てたりするということだった。

しかし、東日本大震災の直後、援助物資を輸送するドライバーに道路情報を提供するために、プローブデータを使用する作業を開始したのだ。

個々の自動車メーカーは既にドライバーがプローブデータを共有するシステムを運用していた。しかし、震災前には、異なるメーカーの車のデータを集約するシステム作りを進めている途中であった。

そこで、ITS Japanの出番となった。より多くのプローブデータがあれば、ドライバーにより正確な情報を与えることができる。そのため、複数事業者のデータを一元化することが不可欠であった。

「プローブデータのプラットフォームを統一するという議論は前からありました。が、それはライバルである複数の企業の間で合意に達するには時間を要するテーマでした」とITS Japanの常務理事兼事務局長・村井康真氏は語る。

「しかし、被災地に向かうドライバーに道路情報がわかれば、少しでもお役に立てるはずだと考えたのです」と村井氏は言う。

迅速な協力体制

大地震と津波の翌日の2011年3月12日、ITS Japanは、トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車(株)およびカーナビメーカーのパイオニアの4社にプローブデータの提供をお願いした。

同日、ホンダとパイオニアは、自社製品のユーザーにプローブデータの提供を開始した。 3月16日にはトヨタが顧客のためにプローブデータの提供を開始した。

そして3月19日、各社が共同するためにさまざまな障害をわずか1週間で乗り越え、ITS Japanはトヨタ、ホンダ、日産、パイオニアからのまとまったプローブデータの提供を開始した。ドライバーは、自分の車のカーナビ、またはスマートフォンやパソコンを介してITS Japanのウェブサイトを見ることでデータを取得した。

「3月19日までは本当に忙しかったのです。自動車メーカーは、災害後これ以外の事でも本当に忙しかったことでしょう。メーカーさんたちもまた、大変なご苦労をされたにちがいない」と村井氏は言う。

2011年4月28日に、ITS Japanは、プローブデータの公開を停止した。既に瓦礫のない道路などの情報は東北地方のドライバーに十分周知されたため、プローブデータへの需要減少を機にストップしたのである。

海外の需要

ITS Japanは、日常的プローブデータの実用化を促進する政府省庁のタスクフォースに参加している。タスクフォースでは、プロジェクトのモデル都市を決定したのだが、その中の一つには、大雪でしばしば冬の道路が閉鎖されてしまう青森市がある。プローブ情報の利用を検討している青森プロジェクトは、6月頃に始まる予定だ。

ITS Japanは、プローブデータを活用した技術やノウハウを他の国に適用することができると考えている。

「インドネシア、スリランカ、他の沿岸国では津波などの自然災害の際には、プローブ技術の需要があるはず」と、普及推進担当のITS Japan常務理事大月誠氏は語る。

一方で、ITS Japanは、日本が世界をリードできる他の自動車関連技術も推進している。

大月氏は言う。「たとえば、協調型アダプティブクルーズコントロール(CACC)は、車両間の距離を最適化する技術で、渋滞を緩和するのに役立ちます。CACCは、10月に東京で行われるITS世界会議で注目される技術の一つです。ある研究によると、CACC技術を搭載した車の割合が30パーセントに達した場合、渋滞が大幅に減少するのです」。

Produced by The Japan Times